関西電鉄i

◆過去ログ名作選
・仁和寺の法師 2/3
[415]誕 02/03/08 18:23
これも仁和寺の法師、仁和寺駅の準急停車にならむとする祝ひとて、各遊ぶことありけるに、酔ひて興に入るあまり、ぶらさがりたる吊り革の輪をとりて頭にかづきたれば、つまるようにするを、鼻をおしひらめて顔をさし入れて、舞ひ出でたるに、車内全体興に入ること限りなし。
しばしかなでて後、ぬかむとするに、大方ぬかれず。
酒宴ことさめて、いかがはせむとまどひけり。
とかくすれば、頬のまはりかけて、血たり、ただはれにはれみちて、息もつまりければ、打ちわらむとすれど、たやすくわれず、響きて堪へがたかりければ、かなはで、すべきやうなくて、吊り革垂らしたる棒の上に帷子をうちかけて、両隣の吊り革を持たせて、電鉄高槻なる駅長のがりゐて行きける、車内にて事情知らざる人の怪しみ見ること限りなし。
駅長のもとにさしいりて、むかひゐたりけむありさま、さこそことやうなりけめ。
[416]誕 02/03/08 18:24
物をいふも、構内アナウンスに掻き消されて聞えず。
「かかることは文にも見えず、伝へたる教えもなし」といへば、また仁和寺方面に折り返して、したしき者、老いたる母など、ロングシートに座りて泣き悲しめども、聞くらむとも覚えず。
かかる程に、あるもののいふやう、「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらむ、ただ力をたてて引き給へ」とて、藁のしべをまはりにさし入れて、かねをへだてて、こうべもちぎるばかり引きたるに、耳鼻かけうげながらぬけにけり。
からき命まうけて、久しく病みゐたりけり。

う〜ん、イマイチやなw

[1] 2 [3]
[0]TOP [9]BACK